湯川は湯の湖から中禅寺湖までと短い。だが流れにとても変化があるので名川だと思っている。 とくに竜頭の滝から戦場ヶ原付近までの渓相がおもしろい。
竜頭の橋を境に、下流は川幅が広く滑滝(なめたき)になっている。逆に上流は帯のように狭い水路である。
遊歩道を上流に向かう。
まもなく水路が淵に変わる。淵は7〜8。の断崖に囲まれている。
裂けた断崖の窪みは10。ほどの滝をつくっている。純白の瀑布は、瀑音を響かせて縄文模様を描いている。
飛沫(しぶき)を散らす瀑布の中に漂う赤く色付いた木の葉は、婚姻色の鮭が遡上しているようにも見える。
木や草の葉や実、魚の婚姻色などの赤や黄、茶色は、生の最期の輝きであろう。だから感激の中に淋しい雰囲気があるんじゃなかろうか?
川沿いの笹原の中を、キノコ取りのおばさんが背丈ほどの棒で、笹を元気いっぱいに払い、掻き分けている。
竜頭の橋から戦場ヶ原入口までは、一目散に歩けば15分ほどの距離である。しかし流れや巨木、枯れ木などをめでつつ歩くと2時間はかかる。
信太 一高 |