タツノオトシゴの氷菓子を彷佛させる。
触るとポキリ折れてしまいそうな植物である。 全身が白色なので、水晶蘭やユウレイタケの別名もある。
茎頂の馬頭の形が花で、下向きの内部は青味を帯びた吸盤型になっている。
山地が新緑がら濃緑に変身するころ湿気のある場所に生える。
緑に覆われている山道の脇に、白装束で立っている異形の銀竜草に一瞬ドキッとする。
しかし繊細なガラス細工のような姿形に惹かれ、必ず立ち止まって見とれてしまう。
銀竜草は腐植土の上に生える腐生植物である。
生物の屍骸や排泄物の養分で生育する腐生植物の銀竜草は、無数の生物たちの屍骸を凝縮させた化身なのではないか?それとも屍骸たちが何かに変化するための橋渡し役を担っている姿なのだろうか?
どちらにせよ自然の循環の多様性、デリカシー、有効性を感じさせる植物である。
ユニークな姿形の銀竜草は、自然界ではきっと大きな存在に違いない。
信太 一高 |