7月から9月の3か月に8回那須連山を歩く。雨、小雨、濃霧、風雨などの日々である。
本日も小雨と霧が宙を漂っている。同行は細田和美さん。細田さんが今朝、家を出るときお母さんに言われる。『雨の中、山になにがあるの?』
茶臼岳に登る。頂上近く、一歩一歩登り進むうち、汗が滲み、息が荒れる。生身である自分を感じる。
霧の間から朝日岳の尖った頂上がのぞく。刹那、西ヒマラヤのマチャプチャレ(6993m)まで想像力が飛ぶ。霧で隠れた山裾が底なしに深く感じる。霧が山を高く見せ、谷を深くする。
山で食べるおにぎりは三角形が似合う。細田さんののり巻き三角おにぎりの一角が白い。雪を冠った頂上のようである。
写真を撮るとき細田さんが言う。「このおにぎり、石の塊に見えないかしら?』
山の天気は変わる。風が吹いても、雨の中でも食べられるおにぎりは重宝である。具は梅干しや塩鮭、昆布の佃煮などが向いている。わたしは梅干しと塩鮭に決めている。
信太 一高 |